5Gとローカル5G

NTTドコモは、25日、国内で初めて第5世代(5G)移動通信システムを使ったスマートフォンサービスを始めた。KDDI(au)は26日、ソフトバンクは27日からの開始予定。ただし、エリアが限定されているので、東北の全域に普及するのは、まだ先の話だと思いますが・・・。

新聞記事によると、NTTドコモの5Gサービスは、当初29都道府県の空港や商業施設など150か所で使え、家庭で日常的に使えるようになるには数年先とありました。なんか、第二世代携帯電話と無線アクセスとの間の中間的な性能を持つPHSサービスの開始当初と似ていますね。20数年前、PHSサービスを展開するアステル東北に出向し、NTTパーソナルさんやDDIポケットさんと競争していた頃を懐かしく思います。

さて、5Gの「G」という言葉に違和感を持っているのは、私だけでしょうか。IT用語において、「G」と略される言葉が他にもいくつか存在します。混同しやすいのが、「5G(国際電気通信連合 無線通信部門規格の第5世代移動通信システム)」、「5GHz(電波の周波数帯)」、「5Gbyte(通信データ量やストレージ容量)」、「5Gbps(通信速度)」など。

同じ言葉のなかでも意味を混同しやすいのが、Gbyte(ギガバイト)。Gbyteは「通信データ量やストレージ容量の単位」で、特に混同されやすいのが「スマホのデータプラン」と「スマホのストレージ容量」。Gbyteは、GBと略されることが多く、いずれもGBと表現され、データプランとストレージ容量とが混同する人も多いのも事実であります。

また、5Gと4G(現在サービス提供されている移動通信システム)との違いは、

通信速度が20倍:これまでの世代より高い周波数帯を用いて、通信スピードをより高速にする。100倍という説もありますが、これは4G開始頃と比較した数字のようです。今のスピードと比べると20倍です。

同時接続できるデバイスが10倍:基地局1台から同時に接続できる端末を従来に比べて飛躍的に増やせる

通信の遅延は10分の1(無線通信方式の改良により、より低遅延な無線区間の通信も実現)

の三点です。

5Gは4Gよりも早い通信速度が期待でき、遅延なく多くのデバイスと通信できるようになるなど、より便利な通信環境が期待できるものでありますが、IT用語における5Gや5GBなど、現在では単位が省略されて使われることが多いため、前後の文脈から用語の意味を正しく理解しておかないと、自分の誤用だけでなく、周りの人にも誤解を与えることになりかねません。

テレビや新聞などの報道では、5Gの概念よりも通信速度を重視しているように見受けられるので、誤解を招くような報道にならないよう心配しております。

5Gの例示として、「自動運転」がありますが、これを実際に運用するのには、同時接続できるデバイス数や通信遅延の低減によってコントロールされるものの、これを実現するには、数多くの基地局を設置しなければならないのでは? と思ってしまいます。

PHSサービス開始当初、思ったよりエリアが狭い、思ったより音質がクリアでない、思ったよりも通話が途切れるなどのクレームがありました。このようなクレームが出ないことを祈ります。

PHSサービスの携帯端末は、会社内などにある自営交換機(PBX)と接続した子機としても利用されていますが、5Gについても、日本国内では、通信事業者だけでなく、様々なニーズに応じて主体が利用可能な「ローカル5G」という制度が新設されました。たとえば「工場の建物内で、工場内専用の5Gを利用する」といった構内専用線のような使い方が可能になるというもの。これも、PHSサービスと似ていますね。

製造業は、ニーズの多様化や需要の不透明化などを背景に、「変種変量生産」への対応を迫られております。変種変量生産の場合、ロボットを変更するよりも、「人手で生産してしまった方が早いことも多い」ということもあり、ローカル5Gは現場で働く“人”の能力を支援・拡張できるという点で、必要不可欠なサービスになると言われています。今後、WiFiからローカル5Gに移行する工場が増え、キャリアの展開する5Gに比べ、ローカル5Gの普及は早く、最大のマーケットとなりそうです。

ただし、PHS子機や無線LAN(WiFi)とは異なり、ローカル5Gは、免許割当が必要である他、電波発射には無線従事者免許証が必要であり、免許を受ける企業内に無線従事者を置く必要があります。

ローカル5Gを導入する場合、無線局の免許(電波法第4条)の申請が必要となります。免許申請については、常時受け付け、標準的な処理期間は約1ヶ月半かかるとのこと。

ローカル5Gの基地局を扱う無線従事者について、一般的には、第三級陸上特殊無線技士の資格者で対応できるようですが、空中線電力100Wを超える場合、第一級陸上特殊無線技士の資格が必要となります。

第1級陸上特殊無線技士は、特殊無線技士(多重無線設備)の名称が変わったもので、NTTや電力会社などが保有するマイクロ波無線や業務無線の無線従事者として必要なものです。私も、昭和54年に取得し、電力会社勤務時代、無線従事者として選任届を出していたこともあります。

ローカル5Gのマーケットが広がるのであれば、これまで、第一級陸上特殊無線技士の資格をアピールしておりませんでしたが、今後は大々的にアピールしていきたいと思います。